横ヒレ流ローダウンサスペンションセッティングとレインボーオートオリジナルサスペンションキットについて

横ヒレ日記

皆さんこんにちは!レインボーオートの横ヒレです。

日ごろからご質問の多いジムニーでオンロードを楽しむレインボーオートオリジナルサスペンションについて商品の説明やセッティングやドライビングについても少し触れながらちょっと掘り下げた話をして参りたいと思います。

とは言っても私は常に基本的に車任せの運転で腕っぷしの強いドライバーではないので少々理解しにくい部分もあるかもしれませんが(笑)

この機会にじっくりと語りたいと思いますので、レインボーオートのローダウンサスペンションキット購入を検討しているお客様や既にサーキット走行を楽しんでいるお客様は参考に読んでみてください。

『オンロードとオフロード究極の両立』から『ジムニー×サーキット』へ

かれこれ10年以上に及ぶ『ジムニー×サーキット』での活動になりますが、
活動開始当初はリフトアップしたスタイルを兼ね備えながらオンロードを快適に走行できる事をコンセプトに『オンロードとオフロード究極の両立』を提案していました。

いわゆる”ヒレックスアーム”と呼ばれるトライフォース社のフレックスアームを独自加工して使用したサスペンションアームセッティングが出たのもそのころのお話です。

初挑戦の現場ではノーマル車高やリフトアップしたサスペンションATタイヤやMTタイヤでサーキット走行するユーザーがメインで茂原サーキットでのLAPタイムが平均して1分9秒台くらいでジムニーでサーキットを走ると言うのは手探りにもならない状態。

最初のチャレンジは商品開発等も考える余裕もなく『ただ楽しいだけ』で終了した感覚で具体的なサスペンション開発はサーキットチャレンジ2年目にして本格始動となります。

本格クロスカントリービークルからオンロードを楽しむFRスポーツへの転身

初開催の翌年はこんなに楽しい新しいモータースポーツは今までにないと思いオンロード専用コイルスプリングの開発がスタートしました。まずは単純にバネレートを上げたコイルスプリングを数セット製作し叩き台になるものを用意しました。
当時を振り返るとこれがまた大変で(笑)

コイルスプリング設計を担当するメーカー担当者から『こんなに硬いバネレートにして大丈夫ですか?ジムニーですよね?』なんて言われたりもして(爆)

当時はまだJB23Wが新車販売されていた頃の話ですが高い車体剛性を持つジムニーならキチンとバネが仕事すると確信もあったので設計担当者を説得して製作してもらいました。

ただバネレートはイイ感じだったのですが思うように車高が揃わなかったり全長と減衰力が私の理想に当てはまるショックアブソーバーが見つからなかったりしてJB23W用スポーツダウンサスキット開発までに気が付けば3年近い時間がかかりました。

製品版として完成した時はスプリングの設計担当者も『ジムニーがこんな車になっちゃうの!?』と驚いた様子だったのが印象的で私も『やってやったぜ!!』って達成感も感じていましたね(笑)

JB64WとJB74Wの登場

JB23W用販売開始から暫く時間が経ちジムニースーパーラップの知名度も上昇していくことでジムニー×サーキットの理解が深まりイベント参加者も増えた事や走行会参加者の運転技術向上や車両のカスタマイズ、タイヤ選択がスポーツラジアルへと進んだことで茂原サーキットのLAPタイムも飛躍的に更新されて1分切りが増えてきた時にジムニーがフルモデルチェンジを迎えました。そう、JB64WとJB74Wの登場ですね。

新型ジムニーはJB23Wまでとは違いボディ剛性が大幅に向上した事で従来型のスポーツダウンサスよりももっと欲張った仕様でも車体がしっかり受け止めてくれることが分かったので専用設計のスプリングが必要と考えた事、また年々進化が進むジムニーのチューニングとサーキット走行からのフィードバックで考え方が少し変わった部分もあり新型スポーツダウンサスコイル開発に踏み切ります。

新型コイルでは素材から見直すことで高いバネレートを維持しつつも柔軟さも兼ね備え、街乗りでの乗り心地の良さも確保できる様になりジムニー用ローダウンサスペンションとしてはレーシングドライバーの飯田章さんや山田英二さんからも高い評価もいただいております。
(こちらは現在販売中のスポーツダウンサスキットです。現在はJB23Wと品番統合されました)

現在では減衰力調整機能を兼ね備えたオリジナルショックアブソーバー『コンクエストダンパー』も販売しておりますので更に高次元で楽しむことが可能です。
このスポーツダウンサスキットの使用でジムニーのサーキット走行も数年前には誰も予想できなかった異次元の領域になってきたと思います。

ちなみに私が考える『ジムニー用スポーツ系ダウンサスペンションに求められるポイント』をいつか述べさせていただくと…。

  • そもそもちゃんと車高が落ちる(開発期間が短いのか案外下がらないメーカーある)
  • コーナリングへの侵入で不安定な挙動に陥らせないスポーツ走行に適したバネレート(乗り心地の悪化を恐れてレート上げられない)
  • 日常使用も含めた市街地でのギャップやサーキットの縁石に乗り上げた時に不要な突き上げを防ぐだけの十分なバネレートと縮みストローク確保及びバンプストッパー性能(ストロークないのにバネレートも弱く突き上げるだけのメーカー多い)
  • コーナリング立ち上がりでイン側のタイヤグリップを失わない為のフロントタイヤのインリフト防止(サーキット走行前提ではなくスタイル重視でそもそもレート不足)

この4つの項目は非常に重要だと考えています。

またサスペンションはトータルバランスであることは間違いありません。
強化ウレタンブッシュを使ったロールコントロールや偏心キングピンや社外アーム等を使った調整、タイヤの仕様にも応じた変更も必要になってくるので更なる運動性能向上やラップタイム向上をより高く狙う場合にはレインボーオートオリジナルパーツラインナップからご利用いただく事をオススメします。

求める性能や必要に応じて選択して頂けたら、きっと市街地での走行でも楽しいコーナリング性能が発揮できるはずです。

商品取付等に関するご質問はホームページ内でもご紹介しておりますので是非チェックしてください。

サーキット走行上級者に‼ハイレートタイプサスペンションキットとセッティングについて

現在レインボーオートではAttack筑波へのチャレンジから得たフィードバックで主にサーキット走行上級者に向けたハイレート仕様にサスペンションキットもご用意しております(受注生産になります)

現在のハイエンドモデルは以下の通り

これらのパーツについては私が日ごろからサーキット走行を行ってきた中で必要と感じ開発と仕様変更を行い販売している自信作であるラインナップです。

ハイレート スポーツダウンサス

レインボーオートデモカーで使用している最強スポーツダウンサスです。
ショートサーキットから国際サーキットクラスでも対応できるサスペンションコイルになります。

ハイフロータービン導入でアベレージスピードが高まったり、トレッドのワイド化、ハイグリップタイヤの利用でレート不足を感じるタイムアタッカーには是非ご利用頂きたい商品です。

またFRPやドライカーボンパーツを導入しているジムニーが前提で前後の車高バランスを崩さないように予め見越したセットアップをしています。

コンクエストダンパー

スポーツダウンサスコイル専用設計の現時点で最高の減衰力調整式ショックアブソーバーです。

全長調整式を採用。減衰力の20段調整仕様。
各サーキットや走行シーンに合わせた調整がダイヤル調整にて可能です。

基本的には私のお気に入りだったショックアブソーバー仕様をベースに実際に市街地からサーキットまで走行を行いながら必要と感じた調整幅で調整に幅を持たせていますので、サーキット走行をメインとしたスポーツ走行の他、市街地での日常使用での使用まで十分に対応が可能かと思います。

またオーバーホールや減衰力調整の仕様変更にも対応しておりますので発展性も高くコアなユーザーの声にも対応が可能です。

フォーミュラーラテラルロッド

言わずと知れたレインボーオートの最強ピロボール式ラテラルロッドです。

高強度ピロボール採用で強力なブレーキングでも挙動を乱さずステアリングのブレも抑える。
ステアリングの応答性もよく、旋回性能が飛躍的に向上する。

現在は証明書の発行も行っており、補修部品の販売共有も行いますのでダートトライアルやクロスカントリー走行での破損でも安心してご利用いただけます。

ウレタンバンプストッパー&バンプストッパーホルダー

バンプストッパーと言うのはあまり重要に考えていない方も多く交換を省かれるケースもありますが無視できない非常に重要な部品の一つになります。

『ローダウン=ショートストローク』これはジムニーのサスペンション構造上、ホーシング側を加工する以外避けられません。そしてショートストローク故に市街地の走行等で車両がギャップに差し掛かり強く乗り上げるとバンプストッパーが発動し衝撃を受け止めます。

ただこの衝撃を受け止める際の材質の違いからくる受け止め方が非常に重要でレインボーオートでは発砲ウレタンタイプを使用しています。

これはゴム製の様に強い衝撃を受けた時に反発してしまう事が無いように衝撃を減衰させて吸収出来るようにしています。

例えばゴム製のバンプストッパーをスーパーボール、ホーシングを地面だと考えて頂くとわかりやすいのですが、スーパーボールは強く地面に叩きつけるとよく弾んで飛んでいきますがウレタン製の場合は潰れてしまうだけで反発することはゴム製と比べて小さくなります。

現在のモータースポーツシーンでは積極的にウレタンバンプストッパーを当てて蹴り足を強くするようなサスペンションセッティングが注目されていますが、これは私も現在テスト中な部分なのでまた別の機会に提案とご紹介させていただきます。

強化ウレタンブッシュ

加水分解に強い材料を使用した高寿命の国内製造のウレタンブッシュ。
前後アームの純正ゴムブッシュを硬度の高いウレタンブッシュに変更することでリアサスペンションにスタビライザーを装着無しでも高いスタビリティーを確保する。

JB23全盛期にはレインボーオートではリアに専用スタビライザーを溶接装着している期間もありましたが強化ウレタンブッシュの登場でその必要がなくなり強化ウレタンブッシュの利用が定番メニューとなりました。
ちなみにノーマル車高やリフトアップ仕様のユーザー車でもフラフラした直進安定性の挙動

の改善や直進安定性の大幅向上が期待でき大人気商品になっています。
サーキットユーザーには全数交換が基本になりますがロールを抑えることでフロントインナー側タイヤの浮き上がりも防止されるのでイン側のタイヤグリップ力が向上。ドライバーに伝わる運転中の安心感は実に気持ちが良いです。

2度キャンバーキングピン&4度キャンバーキングピン

純正キャンバーピンと交換することで2度または4度のネガティブキャンバーをつけることができる。
一般速度域ではコーナーリング中のタイヤの接地面圧を稼ぎ回答性が向上し、わずかながら全幅も稼ぐことで安定性も向上。

サーキット走行等での速度域では2度キャンバーピンの特性も活かしつつ普通車のような『弱アンダー』傾向にセットアップが可能。

全高が高いジムニーはリアが巻き込むオーバーステアになるとインリフトのリスクが高くなりますがキャンバーキングピンを使用して意図的に弱アンダー傾向にセッティングを進めていく事でフロントを逃がしリアの巻き込みを防ぐ、絶妙なコーナリング性能に高める事が可能になってきます。

またサーキット仕様では205、215、225幅のタイヤを利用するユーザーが多いですが、単純にタイヤグリップ力が上がると旋回性能は高まりますが何かしらのアクシデントやギャップ、縁石でのショートカットでリアが姿勢を崩しトラクションを失いそうになった時にフロントが逃げるセッティングの方がリアが巻き込みスピンモードになるよりも安全性が高いと考えております。

オーバースピードやコーナーの読み違いで出すドアンダーは論外ではありますが、某豆腐屋ドリフトアニメでも豆腐屋の親父が『アンダーステアの方が踏める』といった描写がある程で、弱アンダーセッティングはスポーツカーのみならずジムニーでも同様で私も日ごろからのサーキット走行をで感じてセッティングの傾向として取り入れています。

逆に言えば4度キャンバーキングピンより2度キャンバーキングピンの方が旋回性能は高いとも言えます。

17インチアルミホイール『レコードブレーカー』

JB74W専用アルミホイールでジムニーでは数少ない17インチ設定。

数年に及ぶサーキット走行会の開催で16インチホイールでは選択できるタイヤの数が限られる事を克服するために導き出したジムニーシエラや今後はジムニーノマド用ホイールとしても注目のアルミホイールです。

世界的ホイールメーカーのENKEIと共同開発した鋳造ホイールで鋳造ホイールでも軽量で高強度を発揮するMAT製法。17インチアルミホイールでも16インチホイール並みの軽量さも兼ね備えます。推奨タイヤサイズは215や225になり手頃はスポーツタイヤ他ハイグリップラジアル、Sタイヤまで装着が可能となります。

また4WD専用タイヤのサイズラインナップも豊富でATタイヤやHTタイヤ、MTタイヤも使用が可能です。インセットについては+5を採用しておりジムニーノマド、ジムニーシエラでは車検対応ホイールになります。サーキット走行ではスクラブ半径を狂わせることなくタイヤ幅を拡げる事が可能でステアリング操作にたいしてぎこちない応答性にならずワイドトレッドスペーサー等も使用せずにビックキャリパーが使用出来ることでスクラブ半径の変化が理由によるアンダーの誘発も防ぎます。JB64Wにおいては装着すると片側約20mm以上のオーバーフェンダーが必要となりますので必ず構造変更手続きが必要になります。

4POTブレーキキット&アルフィンドラム

RainbowAutoではサーキットでの活動前からSUBARUインプレッサのブレーキキャリパー流用キット等大型タイヤ装着車向けのブレーキ強化等を提案してまいりました。

それからJB23Wなどのパワーアップ化に合わせてそれらのカスタマイズを引き続き紹介してきた訳ですが現在ではよりサーキット走行に適した軽量でコントロール性の高いモデルとしてオリジナル4POTブレーキキットを販売しています。

またリアブレーキはハヤシレーシングとの共同開発で専用アルフィンドラムを販売しています。

4POTブレーキキット

オリジナル4POTキャリパーはピストンサイズとローター直径を見直し、JB74W純正アルミホイールでも装着出来るコンパクト設計ながら十分な制動力を発揮します。

またマスターシリンダーの変更の必要もなくキャンバー変更とタイヤサイズの変更を想定した仕様となっておりますので高速度から一気に減速するモータースポーツシーンから市街地などでの通常走行でもコントロール性は業界一だと考えており、純正ABSを利用したブレーキングシーンでも絶妙なブレーキ性能を誇ります。

アルフィンドラム

リアブレーキの強化に関してはアルフィンドラムを組み合わせることで慣性モーメントを低下させて制動力を高めます。

またアルミ鋳造+鋳鉄スリーブ化で駆動輪のバネ下重量の軽量化により加速性能も高め、ロングライフ性能も備えています。

最後に

いかがでしたでしょうか?

単にジムニーのサスペンションチューニングと言っても私の実体験や研究も含めめちゃめちゃ色々考えてバランスの取れたラインナップを考えているんですよね。
セッティングに関して『それはそうじゃねえよ』ってプロい事を言うドライバーやショップ様もいるかもしれませんが現在私が考える所です。

今後も私が経験を重ねていくことでレインボーオートのオリジナルパーツは少しずつ進化を続けラインナップが増えていくと思いますのでどうぞご期待ください!!